『月刊ゴルフマネジメント』2024年8月号に代表理事である木下裕介の連載の第2回が掲載されました

2024年8月1日発行の『月刊ゴルフマネジメント』2024年8月号に代表理事である木下裕介の「ゴルフ場のデジタル革新」の連載の第2回が掲載されました。

今回は「キャディ業務のDXについて考える」というタイトルで、日本全国に18箇所のゴルフコースを持つ太平洋クラブにおいて、2020年4月にグランドオープンした八千代コースでチーフマネージャーを担い、キャディ業務のDXを通してキャディ不足の課題に取り組む小澤氏をインタビューし、そちらをまとめた内容になっておりますので、ご一読いただけますと幸いです。

目次

本文

近年、リモートワークなどが推進され、キャリアの選択肢が増えたことなどを理由に、ゴルフ場業界で深刻な人材不足が続いていますが、キャディ不足の課題に直面しているゴルフ場も多くなってきています。フルキャディのゴルフ場では、キャディ数に合わせて組数を限定せざるを得ず、機会損失が生じてしまっている現状もあります。

日本全国に18箇所のゴルフコースを持ち、「高級な共通会員制クラブを創造する」ことをミッションに、上質で特別な体験を届けている太平洋クラブ。今回は、2020年4月にグランドオープンした八千代コースでチーフマネージャーを担い、キャディ業務のDXを通してキャディ不足の課題に取り組む小澤氏にお話を伺いました。


まず、普段の業務について教えてください。

小澤:私はマスター室に所属しており、主にキャディの管理を担当しています。キャディの出勤管理や育成、プレーの進行管理、お客様とのコミュニケーションなどが主な業務です。キャディが業務をスムーズに行えるようサポートしつつ、お客様に満足していただけるプレー環境を提供するのが私の役割です。

貴社はキャディの採用や育成に注力されていますね。

小澤氏:はい、特に高校訪問を通じた新卒採用には力を入れています。近隣の高校に直接足を運び、太平洋クラブの魅力を伝えています。支配人や採用担当者が高校を訪問し、ゴルフ業界やキャディの仕事の魅力を説明し、コースでの見学も実施しています。

直接訪問することで、ゴルフ業界の魅力を伝えるだけでなく、具体的な仕事内容や職場環境についても詳しく説明できます。また、私たちのスタッフが実際に働いている姿を見せることで、信頼感や安心感を持ってもらえるようにしています。

入社後は約3ヶ月の研修期間を設けています。最初の1ヶ月はゴルフの基本知識や接客の基本を学び、その後はコース内の実務に取り組みます。研修終了後には卒業試験を実施し、独り立ちできるかどうかを評価します。実際にお客様役を担当するスタッフが評価することで、実践的なスキルの確認も行っています。

また、定期的にキャディミーティングを開催し、情報共有や意見交換の場を設けています。これにより、キャディ同士のコミュニケーションが活発になり、チームワークの向上にも繋がっています。キャディ一人ひとりが自信を持って仕事に取り組める環境を整えることが、結果的にお客様満足度の向上にも寄与していると考えています。

その中でキャディアンケートをDX化されたとのことですが、実施した背景を教えてください。

小澤氏:以前は紙ベースのアンケートを使用していましたが、集計や管理が非常に煩雑でした。そんな中、『koko tip(ココチップ)』を運営する(株)Challenge Fund代表の根本氏との出会いが大きな転機となりました。『koko tip』は、お客様が同伴したキャディに対して、簡単に感謝の声を贈ることができるウェブシステムで、根本氏からキャディアンケートのDXの提案を受け、デジタル化の可能性を探ることにしました。

最初は、デジタル化に対して不安もありました。特にキャディは、リアルタイムでお客様の評価を受け取ることに対して懸念を抱いていました。否定的なフィードバックが直接届くことで、モチベーションが下がるのではないかと心配していたからです。

しかし、実際に運用を始めると、お客様の感謝の声が多く、キャディたちのモチベーションが向上しました。さらにデジタル化によりリアルタイムでお客様の声を収集できることで、迅速にキャディにフィードバックすることができるようになりました。

根本氏の提案とサポートがなければ、ここまでスムーズに進めることはできなかったと思います。

キャディアンケートのDXにより、キャディ同士のコミュニケーションに変化があったようですね。

小澤氏:はい、非常に大きな変化がありました。DX化されたアンケートを通じて、キャディたちはリアルタイムでお客様の声を共有できましたし、あるキャディに贈られた素敵なお客様の声を『koko tip』を通してキャディ全体に発信することで、定期的に行われるキャディミーティングなどでの、キャディ同士の情報交換が活発になり、互いに学び合う姿勢が強まりました。

また、お互いの努力や工夫を認め合う機会が増え、良い意味での競争意識が生まれました。お客様からの評価が見える化されたことで、キャディたちは互いに刺激を受け、より良いサービスを提供しようとする意欲が高まりました。このようなポジティブな競争が、全体のサービスレベルの向上に繋がっていると感じています。

今後の展望について教えてください。

小澤氏:他の太平洋クラブのコースとの比較やベンチマークに活用することで、さらにキャディの質を高めていきたいと考えています。例えば、他のコースのキャディがどのような評価を受けているかを知ることで、自社のキャディの業務改善に役立てることができます。また、DXを通じて太平洋クラブ八千代コースを太平洋クラブの中で最も評価されるコースにしたいと考えています。


太平洋クラブはキャディ付きの全コースで7月より『koko tip』を通したキャディアンケートのDX化を推進していくとのことで、昨今の人材不足に対して顧客満足度と従業員満足度の両面を高めるDX化は必要を増していくでしょう。

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