『月刊ゴルフマネジメント』2025年4月号に私が担当する連載「ゴルフ場のデジタル革新」の第10回を掲載いただきました。
今回は「PGA Show 2025で見つけた注目の製品やサービス」というタイトルで、2025年1月21日から24日にフロリダ州オーランドで開催された業界最大のトレードショーであるPGA Show 2025の中で私個人が気になった製品やサービスをいくつかピックアップしてまとめておりますので、ご一読いただけますと幸いです。

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先月の3月号では、2025年1月21日から24日にフロリダ州オーランドで開催された業界最大のトレードショーであるPGA Show 2025の展示会開催におけるデジタル技術を活用したビジネスマッチングの仕組みなどを中心に、参加した感想を交えてレポートとしてまとめさせていただきました。今回はPGA Show 2025の中で私個人が気になった製品やサービスをいくつかピックアップしてご紹介します。
FineTuned – 極上のカスタムパターとウェッジ
Demo Dayの会場を歩いていると、シンプルながらも洗練されたデザインのパターとウェッジが展示されているブースに足を止めました。ニュージーランドの工房「FineTuned」が手掛ける完全カスタムメイドのクラブです。
同社の製品は革新性と職人技の融合を体現しており、なんと3万通り以上の組み合わせが可能な革新的なフィッティングマトリックスを特徴としています。
展示されていたパターを手に取った瞬間、その精密さに驚かされました。代表のピーター氏によると、カスタマイズのオプションは実質的に無限大だといいます。モジュラーデザインから、プレミアムなグリップ、シャフトの選択まで、すべてのFineTunedの製品は性能、使い勝手、そして個性を最大限に引き出すために緻密に設計されています。
パーソナライズされたロゴ、テキスト、フォントの選択から、ユニークなヘッドカバーの色やデザインまで、パターを真に唯一無二の存在にするための無限の可能性を提供しています。
嬉しいニュースとして、代表のピーター氏によると3月7日から開催されるJapan Golf Fair 2025にブースを出展するとのこと。日本のゴルファーにとって、この高品質なカスタムクラブを直接体験できる貴重な機会となるでしょう。興味のある方は、ぜひ足を運んでみてください。
Bushnell GOLFとForesight SportsのGC QUAD – データ連携の新時代
次に注目したのは、業界トップランナーのBushnell GOLFとForesight Sportsの画期的なコラボレーションです。
Foresight Sportsは長年にわたり弾道測定器のリーダーとして業界に知られており、そのGC Quadはプロツアーの練習場で頻繁に見かけるようになりました。その正確さからフィッティングの現場でも重宝され、屋内でのシミュレーションゴルフの精度向上にも一役買っています。今回のPGA Showで発表された「リンク対応技術」は、このForesight Sportsの弾道測定器での練習データをBushnellのレーザー距離計やGPSアプリと連携させる革新的なシステムです。
Foresight Sportsが開発した「MyBag」評価アプリは、使い方も非常にシンプル。バッグ内の各クラブで3回ずつショットを打つだけで、キャリー距離やショット形状などの詳細なデータを収集します。このデータはアップロードされ、Bushnellアカウントと直接リンク。実際のプレーでは、Bushnellのリンク対応レーザー距離計やGPSアプリを起動するだけで、各ショットに最適なクラブを推奨してくれるのです。
この連携システムの賢さは、単にキャリー距離だけでなく、気温、風、高度、傾斜、そしてショット形状のパターンまでアルゴリズムに取り入れている点です。デモでは、グリーンの前方や後方に到達するクラブの推奨まで行い、スコアを最適化するためのポジショニングのアドバイスまで提供していました。プロのキャディがいない中でもスマートなクラブ選択を可能にする、まさに技術の進歩を実感させるコラボレーションです。
Motocaddyの電動トロリー – 日本のゴルフ文化に新たな選択肢を
最後にご紹介するのは、アメリカのMotocaddy社が展開する電動トロリーです。日本ではまだ馴染みが薄いかもしれませんが、欧米では既に多くのゴルファーが活用している製品です。Motocaddyは2004年に設立され、信頼性が高く手頃な価格のゴルフトロリーを提供することを目的としている会社です。
実際にDemo Dayの会場でMotocaddyの最新モデルを試す機会がありましたが、その使い勝手の良さと機能性の高さには感心させられました。コンパクトな折りたたみ機能、下り坂制御、QUIKFOLDシステム、USBデバイス充電機能、リモートコントロール、そしてGPSやスマートフォン通知などの最先端スマートテクノロジーを備えています。
日本のゴルフ場事情を考えると、全組キャディ付きのゴルフ場では導入に障壁があるかもしれません。しかし、乗用カートの普及や、キャディ付きに慣れている団塊世代の引退と、セルフプレーに慣れている若年ゴルファーの増加に伴い、今後セルフプレーの導入はゴルフ場の持続可能な経営において有効な選択肢になっていくでしょう。
特に36ホールを有するゴルフ場なら、18ホールずつセルフを導入するなど、タイミングを見計らいながらセルフプレーという選択肢を増やし、現状のキャディ数を維持しながら機会損失を減らしていく戦略も考えられます。Motocaddyのような電動トロリーは、そうした将来のゴルフ場運営の一助となる可能性を秘めています。
おわりに
今回ご紹介した3つの製品・サービスは、PGA Show 2025で私が特に注目したものの一部です。技術革新と伝統的なゴルフの価値観が融合する現代のゴルフ産業において、これらの新たな選択肢がどのように日本市場に浸透していくか、引き続き注目していきたいと思います。特にFineTunedの製品は間もなく日本でも直接体験できるチャンスがありますので、興味のある方はJapan Golf Fair 2025での出展をお見逃しなく。次回も、アメリカ訪問で体験したゴルフ業界の最新トレンドをお届けしてまいります。
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