ゴルフライフデザイン代表理事の木下です。
ゴルフ場運営において、多くのお客様に来場していただくためのマーケティングはとても重要です。その中で、多くのゴルフ場にとって、メインの集客チャネルになっているのは楽天GORAやGDOなどのゴルフ場予約ポータルサイトです。
デジタル化が進む現代において、オンライン予約システムの重要性は高まる一方ですが、同時に自社予約システムとのバランスも考慮する必要があります。
今回はゴルフ場予約ポータルサイトの戦略的活用方法についてご紹介しながら、自社サイトとの最適な組み合わせについて深掘りしながら、予約ポータルサイトと自社サイトの相乗効果で集客を最大化する方法について考察していきます。
予約ポータルサイトを利用するユーザーのカスタマージャーニーを理解する
まず、カスタマージャーニーについて簡単に説明しましょう。カスタマージャーニーとは、「顧客が商品やサービスを認知し、検討し、購入し、使用するまでの一連のプロセス」を指します。このジャーニーを理解することで、各段階で顧客のニーズに合わせたアプローチが可能となり、より効果的なマーケティング戦略を立てることができます。
では、ゴルフ場予約ポータルサイトを利用する典型的なカスタマージャーニーを具体例で見ていきましょう。
- 認知段階: 小林さん(35歳、会社員)は週末に同僚とゴルフをすることになり予約を任されたので、スマートフォンで「ゴルフ場 予約」と検索します。
検索結果の上位に表示された楽天GORAのリンクをクリックします。 - 検討段階: ポータルサイトにアクセスした田中さんは、まずプレー日と同僚の住まいを考慮して複数の都道府県を選択して検索を実行します。
検索結果のゴルフ場一覧を「総合評価が高い順」でソートし、上位のゴルフ場をいくつか比較します。
各ゴルフ場の料金、口コミ、アクセスなどを一覧ページと詳細ページを往復して、確認しながら候補を絞っていきます。 - 決定段階: いくつかのゴルフ場を比較した結果、Aゴルフ倶楽部に興味を持った田中さん。
一番適したプランを見つけ、予約を実行します。 - 行動段階: 田中さんは希望の日時とプランを選択し、予約ポータルサイト上で予約を完了します。
予約確認メールを受け取り、当日の詳細情報を確認します。 - 体験段階: 当日、田中さんは友人とAゴルフ倶楽部でプレーを楽しみます。
予約ポータルサイトの評価通り、コースコンディションは良好で、ランチも満足できるものでした。 - 共有段階: プレー後、田中さんは予約ポータルサイト上で口コミを投稿し、自身の体験を共有します。
また、次回の予約の際の参考にするため、Aゴルフ倶楽部をお気に入りに登録します。 

このカスタマージャーニーを理解することで、各段階でゴルフ場としてどのようなアプローチが可能か、検討することができます。例えば、ポータルサイトの予約においての集客を最大化するためには、まず、検討段階で自社のゴルフ場が比較検討の土俵に乗ることが重要となります。その後、決定段階では、同時に比較検討されるゴルフ場との差別化ポイントを明確に示して予約を促すことが重要となります。
また、このジャーニーの中で、自社予約システムへの誘導の機会を見出すこともできます。例えば、体験段階で満足度の高かった顧客に対し、次回は自社サイトからの直接予約で特典を付与するといった施策が考えられます。
ポータルサイトの各機能が、このカスタマージャーニーのどの段階に影響を与えるかを考慮しながら戦略を立てていくことが重要です。カスタマージャーニーを基に戦略を立てることで、ポータルサイトを効果的に活用しつつ、自社の強みを最大限に引き出すことができます。次のセクションでは、この理解に基づいた各段階における具体的な施策について詳しく考えていきましょう。
予約ポータルサイトでの集客を最大化する具体的な施策について
検討段階:比較検討されるゴルフ場の土俵に乗る
上述の通りですが、検討段階においては自社のゴルフ場が比較検討の土俵に乗ることが重要となります。そのためには各ポータルサイトの機能を把握し、それに合わせた施策を実施することが重要です。
まず、各ポータルサイトのゴルフ場のソート機能についてまとめてみました。
楽天GORAのゴルフ場のソート機能
- 予約が多い順
 - 料金が安い順
 - 総合評価が高い順
 - 口コミの各項目の評価が高い順
 
GDOのゴルフ場のソート機能
- おすすめ
 - 料金が安い順
 - 評価が高い順
 - 空き枠の多い順
 - 口コミの各項目の評価が高い順
 
例えば、「(総合)評価が高い順」のソート機能は検討段階で大きな影響力を持ちます。そのため、口コミ評価を向上させるための施策(サービス品質の向上、フィードバックの積極的な収集と対応など)に注力することが効果的でしょう。
同様に、「料金が安い順」のソート機能も、検討段階での顧客の意思決定に大きく影響します。しかし、ポータルサイトのために価格を引き下げるわけにはいかないので、周辺のゴルフ場の価格を見ながらダイナミックプライシングで価格の最適設定をすることが効果的でしょう。
決定段階:比較検討されるゴルフ場との差別化ポイントを示す
そして、決定段階においては同時に比較検討されるゴルフ場との差別化ポイントを明確に示すことが重要になります。これに対する打ち手は上記と同様ですが、口コミ評価を分析し、自社コースの強み/弱みを把握し、強みを伸ばし、弱みをなくすための施策に注力することが効果的です。
体験段階:顧客満足度の向上を図り、自社サイトでのリピートを促す
最後に、体験段階においては自社予約システムへの誘導を促すことが重要になります。これに対する打ち手としては、①自社サイト予約のメリット(割引やポイント付与、限定プランなど)創出や②LINE公式アカウントやメールなどを利用したCRM試作の実行が効果的です。
自社予約システムとの相乗効果を生み出す
ポータルサイトの活用は新規顧客の獲得に有効ですが、手数料のコストを考えると、上述の通り、自社予約システムへの誘導も同時に進める必要があります。そのためには、初回はポータル経由で予約したお客様に対し、次回からは自社システムでの予約で特典を付与するなど、インセンティブを設けることが効果的です。
自社予約システムの魅力を高めるため、使いやすいインターフェースの開発、ロイヤリティプログラムの導入、モバイルフレンドリーな設計など、顧客体験の向上に注力しましょう。また、自社ウェブサイトのSEO対策を強化し、検索エンジンでの露出を増やすことで、直接的な予約の増加を図ることができます。
データ分析と改善のサイクルを確立する(例:ポータルサイトの口コミ分析)
予約ポータルサイトと自社システムの両方から得られる予約データや口コミなどの顧客フィードバックは、貴重な経営資源です。これらのデータを統合的に分析することで、顧客の嗜好や予約傾向、満足度などを詳細に把握することができます。
例えば、下記はあるゴルフ場の下記の予約ポータルサイトでの全期間分の口コミを集計したデータです。評価が低い項目があれば、その原因を特定し、迅速に改善策を講じることができますし、評価が高い項目があれば、それをゴルフ場の強みとして把握し、より良くしていく施策を講じることができます。

こちらの口コミをAIに分析させると、下記のようにゴルフ場の強みや弱み、それに対する改善施策を簡単に立案することができます。
| 強み | 弱み | 
| 1. コースの整備状態が良好 | 1. カート道の整備不足 | 
| 2. スタッフの接客態度が良い | 2. 食事の質にばらつきがある | 
| 3. 景色が美しい | 3. 施設の老朽化(特にクラブハウス) | 
| 4. コースレイアウトが面白い | 4. 予約システムの使いにくさ | 
| 5. 立地がアクセスしやすい | 5. プレー料金が高い | 
- カート道の改善
 
- カート道の総点検と補修計画の立案
 - 排水システムの強化
 - 安全性と快適性を考慮したカート道の再設計
 - 食事の品質向上と一貫性の確保
 
- 調理スタッフの再教育と品質管理システムの導入
 - 地元食材を活用したメニュー開発
 - 定期的な顧客アンケートによる継続的な改善
 - 施設の近代化
 
- クラブハウスのリノベーション計画の立案
 - 段階的な設備更新(ロッカールーム、レストラン、プロショップなど)
 - エコフレンドリーな設備の導入(太陽光パネル、節水システムなど)
 - 予約システムの改善
 
- ユーザーインターフェースの刷新
 - モバイルアプリの開発
 - 24時間オンラインサポートの導入
 - 価格戦略の見直し
 
- ダイナミックプライシングの導入
 - 会員制度の見直しと特典の拡充
 - オフピーク時の割引プランの開発
 
このようなデータ駆動型の意思決定と改善のサイクルを確立することで、継続的な顧客満足度の向上と経営効率の改善が可能となります。
上記のようなポータルサイトの口コミを集計したcsvファイルやAIを用いた分析データはメールやこちらよりお問い合わせいただければご用意させていただきますので、お気軽に問い合わせください。
まとめ
ゴルフ場予約ポータルサイトと自社予約システムを戦略的に組み合わせることで、新規顧客の獲得とリピーターの育成を効果的に行うことができます。ポータルサイトのUI/UXを深く理解し、それに合わせた戦略を立てると同時に、自社システムの強化も怠らないことが成功の鍵となります。
時代の変化に柔軟に対応し、データに基づいた継続的な改善を行うことで、競争力のあるゴルフ場経営を実現できるでしょう。ぜひ、これらの戦略を自社の状況に合わせてカスタマイズし、実践してみてください。

			
			
			
			
			
			
			
			
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